松本潤が子犬のような瞳で「ごめん」と何度も謝罪……その理由とは?

2017年10月06日 19時10分

エンタメ anan

一生に一度の忘れられない恋。あなたはしたことがありますか?  生涯の恋をしたことがある人も、憧れているという人も……。すべての人に観てほしい映画『ナラタージュ』がいよいよ公開となります。2006年版「この恋愛小説がすごい!」第1位に輝いた島本理生さんの人気小説を、恋愛映画の名手である行定勲さんが映像化。行定監督に、主演の松本潤さんや有村架純さんとの初タッグについて、また恋愛映画を撮り続ける理由などをお聞きしました。

松本潤は、状況を客観的に見て、 感じて、クリエイトできる俳優。

――2005年に発売された島本理生さんの小説『ナラタージュ』に惚れ込み、映画化を決めたそうですね。どんなところに惹かれたのですか?


行定監督 当時、20歳の女性作家が書いたというところが興味深かったですね。もう少し年齢を重ねた人なら、こういう男女のどうしようもない関係性を描けるでしょうけれど。高校教師の葉山を慕う、元教え子の泉が無意識のうちに欲望を露呈していく物語です。


そこに淫美さ、エロさ、ウェット感があると感じました。原作にも雨のシーンが描かれていて、きっと島本さんも「濡れる」というイメージを持って書かれたんじゃないかと思います。


――映画でも全編通して、雨をはじめ「水」が効果的に使われていますね。葉山(松本潤)と泉(有村架純)がドライブするときも雨が降っているし、葉山が秘密を打ち明ける際もさざ波が立つ海辺を歩いています。


行定監督 恋愛映画には名場面が必要だと思っています。雨が降る場面はこの映画のキービジュアルになると思っていました。じつは海辺のシーンの撮影中、心に残る出来事があったんですよ。その砂浜は川と海がぶつかる河口で、海から漂着したゴミだらけでした。


しかし、僕はあえてそのままにしました。テストの時、歩いていた松本くんがゴミに足を取られ、つまずいたんです。助監督と美術スタッフがゴミを片づけようとしたんだけど、松本くんが僕のところに来て、「ここは歩きづらくてもいいんですよね?」と。


行定監督 僕自身、葉山と泉は、世間が流したゴミをよけながら歩いているのが似合うふたりだし、普通の映画では描かないゴミのなかを歩くところにリアルさがあると感じていました。だから「ああ、松本くんは理解してくれているんだな」と嬉しかったですね。


僕は基本的に俳優に対して多くを語ることはありません。疑問に思ったことがあったら、ちょっと聞くくらい。俳優の想像力を信じているので説明はしません。説明したらそのままの芝居になってしまうじゃないですか。松本くんは状況を客観的に見て、考えて、感じて、一緒にクリエイトしてくれました。


彼の理解度の高さに驚かされましたね。何より、すごくいい男なのに「俺ってかっこいい」って気取ってないところがいい。いつも丸腰で、ストレートで、少し不器用なところもあって……。そこが彼の魅力だと思います。


蔑んだ目、恋焦がれる目、子犬のような目 『ナラタージュ』は目線の映画

――松本さんに「目力を40%くらいにして!」という演出をなさったそうですね。


行定監督 松本くんの目力って100じゃなく120くらいあるでしょ?(笑)。だから彼には「1/3落として40%にしてくれる?」と伝えたんです。以来、目力を抑えつつ、ところどころでいい表情をしてくれましたね。たとえば、メガネを取ったときの顔とか、病院から去って行く架純ちゃんを切なく見つめるところとか。無言だけど言葉を叫んでいるくらいの目をしていたと思います。


彼が「ごめん」って謝るシーンも何度かあるんだけど、少し上目遣いで捨てられた子犬みたいな目をするんですよ。とくに僕はその表情が好きでした。同じ男として共感できる。男は謝っちゃうんだよ(笑)。


『ナラタージュ』は “目線の映画”。葉山と泉がどこにどんな目線を向けるかが、見どころのひとつです。架純ちゃんも、あるときは蔑んだ目、あるときは恋焦がれる目、またあるときは「距離が遠い」と感じながら葉山から目をそむけている……といった具合に、さまざまな目をしてくれました。


――完成した作品を観て、ドキッとしたシーンはありますか?


行定監督 病気になった泉の家を訪れた葉山が、リンゴをすりおろして食べさせるところですね。幸せな空気に包まれていたのに、自分への気持ちを曖昧にしながらも優しくする葉山に泉は苛立ちを感じて空気が一変する。


まあ、修羅場になるわけです(笑)。ふたりの関係はつねに複雑で、優しい言葉をかけられれば反発する。そのこじれ方や不可解さこそ、恋愛の実態だと思うので観ていて興味深かったですね。


――大胆なラブシーンもあり、話題になっていますね。バスルームでふたりが洋服を着たままシャワーのお湯を浴びるシーンはドキドキしました。


行定監督 撮る直前、ふたりの気持ちがグッと高まっていて、僕らにもいい緊張感がありました。リアルな生っぽさがあっていいシーンになったと思います。ラブシーンに関しては、スタッフの間でもいろいろ意見をぶつけ合いました。最終的には、きれいな話のまま終わらせるより、観ている人に何か「違和感」のようなものを植え付けたいということになったんです。


――私も一緒に観た人と「どう思う?」と語り合いました。みごとに、意見がまっぷたつに分かれたのが興味深かったです。


行定監督 観終えた後、感想を語り合うのは映画の醍醐味だよね。この作品も「どう思った」「感情移入できた・できなかった」、「ふたりの関係性が理解できた・できなかった」など、さまざまな視点で感想をぶつけ合える映画になったと思っています。


原作は12年前に書かれたものだけど、いま読み返したとしても、まったく古くない。恋愛における感傷や、喜びといった感情は普遍的なものだからでしょうね。ただし、10代の子がこの映画を観たら理解できないかもしれないね。「なんでこの男のことが好きなんだろう?」「くっついたり離れたりしているのはなぜ?」とか。


でも、いまこの映画を目撃しておくと、恋愛の壁にぶつかったときに役立つと思う。この映画には恋愛のヒントが詰まっているんです。


恋愛映画を撮り続けること、 それが生涯のテーマ

――行定監督は「恋愛映画の名手」と呼ばれています。恋愛映画を撮る醍醐味とは?


行定監督 昨今の恋愛映画は形式化されていて、その作りも明快になりすぎだと思います。ボーイミーツガールものばかり。そういう作品だと坂口健太郎が演じた小野は、主役とヒロインがうまくいくきっかけを作る「アテ馬」になっているはず。


でも『ナラタージュ』は違う。彼の存在が、ふたりの曖昧な関係をより強く浮かび上がらせていきます。「愛」と呼べるかさえわからないその関係に、小野が巻き込まれていくおもしろさがあるんです。


恋愛映画は親近感があるぶん、軽視されてしまう傾向にあります。「どうせ男と女が乳繰り合う話でしょ」と。確かに一組の男女の話なので、サスペンスとか、世界を揺るがす大きなテーマであることはありません。でも日常に近い題材だからこそ、演じる上で俳優本人の経験や色気や憂いが表れる。


架純ちゃんの切ない表情とか、松本くんの苦悩に満ちた目とか、嫉妬に駆られ豹変してしまう坂口くんとか……それぞれ素晴らしかった。僕はラブストーリーほど、俳優に豊かな演技を求めるジャンルはないと思う。だからやりがいを感じるし、生涯、挑戦し続けたいと思っています。


ストーリー

大学生の泉(有村架純)のもとに高校時代、演劇部の顧問だった葉山(松本潤)から電話がかかる。後輩たちのために卒業公演に参加してほしいという依頼だった。秘めた想いを胸にしまっていた泉だったが、再会によって気持ちが募っていく。が、葉山には離婚が成立していない妻がいた。ショックを受けた泉は好意を寄せてくれている友人の小野(坂口健太郎)と付き合うことになるが……。


作品情報

『ナラタージュ』

10月7日(土)全国ロードショー

配給:東宝=アスミック・エース

©2017「ナラタージュ」製作委員会

 



写真・水野昭子
anan

2017年10月06日 19時10分

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